11月13日、午前10時から多摩川競艇場でチルト4度のテストが行われた。日本モーターボート競走会多摩川支部・岡嵜理事からチルト4度採用の趣旨説明があり、その後東京支部6選手が試運転、スタート練習、模擬レースを行った。日本モーターボート競走会・小池理事長、日本モーターボート選手会・野中会長も熱心に航走ぶりをみていた。野中会長はスーツ姿ではなく俺が乗ってもいいと思える準備、装着場では現役レーサーの動きで作業を手伝っていた。
【趣旨説明】 これまで多摩川競艇場では五角形のチルトを使ってきたが、チルト3度は別の物(3度専用アジャスター)を使ってきた。しかし、選手から交換が面倒だから3度と別の角度のものを一緒に作ったらという声があった。そして、3度の調査をしたところ多摩川は平和島に比べ伸びがないという意見が多かった。多摩川は淡水、水温も低く浮力が少ない。そこでチルトを上げれば伸びが付くのではないか。4度で面白いレースが提供出来るのではとなった。
ファンの要望に応え魅力があるレースを提供したい。4度で本場への集客、売り上げ向上を目指したい。テストを実施、巧く行けば4度の採用に踏み切りたい。ただ、乗りこなす選手は限られている。毎節、4度で乗れる選手の斡旋は難しい。しかし、来たときには大活躍が期待できる。競艇界活性化のためには枠番が走るレースではなく、選手の個性で活気のあるレースを取り戻したい。
AM10:45〜 【チルト・直線タイム】
北東2m、波高2cm 気温16度 水温15度
@渡辺 千草 ー 6.48
A熊谷 直樹 3 6.56
B長岡 茂一 3 6.62
C村田 修次 3 6.48
D阿波 勝哉 3 6.40
E小林 泰 0 6.56
AM11:30〜
北東2m、波高2cm 気温17度 水温15度
@渡辺 千草 ー 6.46
A熊谷 直樹 4 6.50
B長岡 茂一 4 6.60
C村田 修次 4 6.49
D阿波 勝哉 4 6.35
E小林 泰 0 6.53
北東4m、波高2cm 気温17度 水温15度
@渡辺 千草 ー 6.51
A熊谷 直樹 4 6.59
B長岡 茂一 4 6.53
C村田 修次 4 6.53
D阿波 勝哉 4 6.43
E小林 泰 0 6.63
【チルト角度のよるハネ】
チルト ハネ(前 後) チルト(前 後)
@渡辺 ー0.5
A熊谷 3度 13.5 23 4度 18 30
B長岡 3度 13 22 4度 20 31
C村田 3度 15 25 4度 21 33
D阿波 3度 15 24 4度 21 35
E小林 0度
※模擬レースは二度とも阿波が大外から綺麗に決めた。さすがアウトの本職だったが、エンジンは支部練習用、ギヤケースの調整はなしで臨んでいた。試運転から渡辺、阿波が強め、渡辺に「マイナスで伸び返しているね」と3度の選手たちが声をかけていた。
【選手感想】
(長岡茂一) 3度では回転が足りなかった。4度はたまたま調整が合ったか乗りやすかった。ターンの乗りづらさは3度も4度も一緒だと思う。前検では必ずハネるし、3度か4度のいい方を使ってみる。
(熊谷直樹) 3度のペラを使ったが、回りにくさがあった。ペラを合わせれば乗れると思う。調整を合わせられなければスタートも決まらないが、慣れれば大丈夫。ハネたときのリスクは阿波も承知しているし、レースに慣れればそれなりのターンはするし出来ると思う。4度になれば試運転で使ってみるが、僕はインも使う。3か4はない、時間的に無理。低めと4度かも。
(村田修次) 3度は合っていたが4度は回りすぎ。ただ、エンジン本体か3度のときからアシは見劣りしていた。凄く良かったら実戦で使うが、調整が間に合わなければ使わない。
(阿波勝哉) 3度も4度も一緒、調整を合わせれば乗れます。4度はすぐに使いますよ。
【4度以外の選手感想】
(渡辺千草) 全部インから行ったが「これは伸びられる」とは思わなかった。4人ハネているから段々で来るし、追い風で差が出なかったと思う。
(小林 泰) 一艇身ちょいやられた。3度と4度の伸びは一緒くらいに見えた。でも4度はターン回りが落ちて僕が前に行く気がした。
模擬レース終了後の検討会で岡嵜理事は「安全性の問題もあり選手会と前向きに話し合いたい。これまで各レース場で工夫してきた経緯もあり、チルトの問題はレース場の判断だと考えている。野中選手会会長と相談し、実施する方向だ。時期をいつにするか、希望としてはハネて乗ってくれる選手が斡旋されたときにお披露目、総理杯までの間に4度を採用したい。多摩川だから出来る」と。
また、野中選手会会長は「起こしが不安定で出遅れの懸念がある。」とマイナス面を言ったが「出足の選手、伸びの選手といていい。私もハネて乗った一人、1マーク先手を取れば抜かれない技術を持っていれば」と。「戸田は狭くて、桐生は北風が強いときはハネられない。アウトのまくりがボートレースの醍醐味、原点に戻るんじゃない。多摩川の特徴を出せばいい。選手会でアンケートをとり皆の合意をとりたい」と締めくくった。