暑くなった。夏が戻ってきたようだ。サイクリングロードを走っていても気持ちのいい朝だ。多摩川競艇は二日目、若松オーシャンカップも二日目だ。施設会社の西武事務所に寄ると、三人しか出勤していない。「場長はナイター番です」と、遅出である。四市のBP市原では「四部制、五部制」といっているのだから大変な時代になったものだ。
初日からスタートが早い。5レースでゼロ台が五艇、6レースで妹尾忠幸、木村恒一がフライングを切ってしまった。準優には乗るだろうと思われていた二人の脱落は痛い。9レースで尾崎明男が転覆、広瀬政憲がエンスト、なかかなメンバーが出ない。「帰るのかな」と言っていると、10レースが終了して前夜版が来た。
電話の具合がおかしい。西武から電気担当者が三人来て点検、修理にかかっている。終わるまで会社に帰れそうもない状況になってきた。若松ナイターの売上げ、多摩川場外は予定よりもいいようだ。いつも以上に残っているファンが多い。
現エンジンの最終シリーズ。周年記念で苦労していたエンジンが何基かあるが、あっという間に機歴のパワーが復活している。今の競艇はプロペラでかなり変わってしまう。SGロードの選手はやはり出すのだが、いつも正解が出ているとは限らない。意外と4点台のベテランがアシ合わせだけは凄いことがよくある。エンジン調整・ペラと何十年ものノウハウは伊達じゃないのだ。ただ、年である。ターンスピードは若い選手の半分もない。それでも、前を走れば抜かれないし、抜かせないのが古豪の持ち味か。
初日の多摩川選抜は◎吉田弘文ー▲妹尾忠幸ー×花田和明。1〜5は2110円、154は5940円だった。小野信樹がまくったが窮屈なまくりだったか。まくって油断?もあったか。妹尾がスピード満点のまくり差し、それで二艇が流れ気味になり、立ち遅れていたイン吉田がターンマークぎりぎりに回りバック線辛うじて伸び切って2マーク先マイで勝った。吉田が良くなっていたのか、選抜メンバーのアシが大したことなかったのか、二日目のレースで判断するしかない。
若松ではオーシャンカップが始まっている。多摩川はリレーナイター、今日は帰らずに水面の向こうのオッズ盤を見ている人が多い。歴代覇者を見ていて、オーシャンカップには一度も出張していないのに気がついた。賞金王、グラチャン、MB記念は多いのだがオーシャンには縁が薄いようだ。「若松には北原と野中がケンカしたMB記念から行っていないよ」というと「いつの話ですか」と突っ込まれてしまった。昭和50年代のことである。
6日間のロングシリーズ、準優2個レース制が採用されている。今年の多摩川は場外発売が異常に多いのだが、何でもやってみようという感じ。おかげで過密日程、疲れが取れる暇がない。あまり愚痴をこぼしてもしようがない。明日のレースを考えるのが仕事なのだ。
昨年8月から使われてきたエンジンの最終シリーズである。ここ数年お化けエンジンは出現していない多摩川だが、減音型で淡水のため出足系統に差がある。しかし、ペラの優劣はそれ以上かも。昨年5月の新基準ペラでまくり差しが決まるレースが減っている。1マークの出口でまくり差しの艇は流れることが多い。とにかく握ってまくるレースが合っている感じがする。
雨が降って湿度が高い。梅雨が明ける気配がないからエンジンもばてて来ている。そんな中で気合の入った練習は吉田弘文だった。23節使って優出ゼロ、選抜が5回しかないエンジン。年間を通せばワースト級なのだが前検は軽快な行きアシを見せた。今期(5月以降)は8点台の勝率、今年早くもV5は伊達じゃない。スピード任せのレースでブッ千切るのか。
7月25日 多摩川選抜12レース
@吉田 弘文(福岡)
A小野 信樹(岡山)
B森 弘行(東京)
C花田 和明(愛知)
D妹尾 忠幸(岡山)
E桂林 寛(福岡)
朝から@号艇の一番人気が続いている。今節はインの単勝率が30%以上、違うレース場に来ているような気がする。
準優が始まった。10レースはインの池田浩二が立ち遅れた。「準優でFは出来ない」と言っていたが、F持ちが響いた。2コース森高一真もやや遅れ、握ろうとするが外に半艇身負けていた。山本隆幸が強烈にまくった。中野次郎はまくり差し、強烈な伸びを見せ追いすがる中尾誠を何とか退けて2着だった。
11レースは向所浩二がインからコンマ03のスタートを決めた。まくり差しを狙った赤岩は転覆、村田修次がブン回り、日高逸子が小差し、遅れて山崎義明がバック線に出てきた。2マークは日高が先マイ、しかしホームで山崎の艇が少し日高の内に入っていた。1マークに事故艇、「内有利」で山崎が2着になった。
12レースはイン瓜生正義がゼロ台のスタートで逃げた。田中豪、辻栄蔵、太田和美の2着争いは激しかったが、辻のレースアシとハンドルが巧かった。
7月17日 12レース優勝戦
@向所 浩二(兵庫)SG優出2回。GT優出4回。
A瓜生 正義(福岡)SG優出7回。G1優出37回、優勝4回。
B山本 隆幸(兵庫)GT優出1回、優勝1回。
C辻 栄蔵(広島)SG優出10回、優勝2回。GT優出24回、優勝3回。
D中野 次郎(東京)GT優出3回、優勝1回。
E山崎 義明(埼玉)GT優出7回、優勝2回。
実績は辻、瓜生。しかし、瓜生は「A号艇じゃ勝てる気がしない」とぽつり。2コースは難しい位置なのだ。ハンドル一発に賭けるしかない。辻はカドかカド受け、レースは組み立てやすい。向所、山本は兵庫でもペラのラインは違うなら、山本がまくって出るシーンは十分あるのだ。中野、山崎は健闘した。だが、このエンジンメンバーでアウト回り、展開待ちになりそう。
6レース発売中に暗くなって来た。ネットを見ると凄い雲が府中の方に向かっている。水面に雨が落ちて来た。画面を見ていると次が凄そう。雷がすぐ近くに落ちている。「本隊がやってきましたよ」と嵐が襲来だ。記者席からピットの建物が見えない。対岸のオッズ盤もぼやけている。レースはしばらく出来そうにない。そのうち地方の記者が「中止ですか」と電話してくる。30分くらい遅れてレース再開である。しかし、番組、審判、投票本部からのファックスが送られてこない。「本部のファックスが壊れました」と。結局最終レースまで直らなかった。12レースの結果、売上げが揃ったのは午後5時30分である。
準優10レース 特別優出ー優勝
@池田 浩二(愛知) 14−3
A森高 一真(香川) 4−1
B山本 隆幸(兵庫) 1−1
C中野 次郎(東京) 3−1
D原田 幸哉(愛知) 31−7
E中尾 誠(佐賀) 0−0
準優11レース
@向所 浩二(兵庫) 6−0
A今垣光太郎(石川) 76−21
B赤岩 善生(愛知) 5−0
C村田 修次(東京) 7−0
D山崎 義明(埼玉) 7−2
E日高 逸子(福岡) 5−1
準優12レース
@瓜生 正義(福岡) 44−4
A田中 豪(東京) 5−0
B辻 栄蔵(広島) 34−5
C濱野谷憲吾(東京) 72−17
D正木 聖賢(広島) 1−1
E太田 和美(奈良) 57−11